私は医療少年院出院者です

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少年院には、種類があることをご存知でしょうか。

 

日本の少年院は4つに区分されており、少年院送致が決まった少年は裁判官の話し合いによりどこへ送致されるかが決定します。 

 

 

振り分け基準は、以下の通りです。

 

  • 初等/初犯や軽犯罪
  • 中等/再犯や年齢が成人に近い者
  • 医療/身体的、精神的病気を抱えている者
  • 特別/それ以外の特別な事情がある者

 

ほとんどの少年は、初等少年院中等少年院に送致されます。

 

何度も少年院送致になっている少年でも中等送致がほとんどで、特別少年院に送致される事例はそう多くありません。

 

一方、私も送致された医療少年院には様々な病を抱えた少年が送致されます。

 

  • 身体的病気(怪我や内臓系)
  • 精神的病気
  • 女子では妊娠している場合

 

医療少年院で出産する女子は意外と多く、私が在院した1年で2人出産しました。出産後は初等または中等少年院送致となり、仮退院までの日々を過ごします。子どもと生活する、過ごせる、ということはありません。)

 

初等、中等少年院は男女で完全に分かれており、施設自体が異なります。

 

いわば、男子校、女子校のような感じです。

 

刑務官や家族以外の異性と会うことはほとんどありません。

 

しかし、医療少年院は日本に2箇所しかない上、男女混合で少年院生活を送るのです。

 

刑務所同様、少年院にも夏祭りやクリスマスパーティーなどのイベントがあり、それらイベントも医療少年院の場合は男女一緒に行われます。

 

規律や規則については中等少年院が最も厳しいといわれ、次いで初等、そして医療が最も緩いといわれています。

 

くだらない話ですが、少年院出院者に「医療少年院に入っていた」というと「医療なんて少年院じゃない」といわれるのです。

 

シーツの敷き方にすら規律がある初等、中等に比べると、医療は確かに緩い傾向があるかもしれません。

 


初等・中等少年院医療少年院の決定的な違い

 


医療少年院だけの特徴は、刑務官以外に看護師の見回りがあることでしょう。

 

少年院には先生と呼ばれる刑務官がおり、初等、中等では、複数人の少年をひとりの先生が受け持ちます。

 

日々の生活に関する悩みから、今後のことまで、幅広く話し合える担任の先生のような存在です。

 

(きれいな言い方をしているけど、実際にはもっとドライな関係ですね。)

 

医療少年院にも先生と呼ばれる刑務官はいます。

 

ですが、医療に送致される少年自体が少ないため、先生ひとりあたりが受け持つ人数も1〜3人と、初等、中等少年院に比べて先生と少年の距離が近いといえます。

 

また刑務官よりも看護師の方が多く勤めており、少年たちの日常の不調に対応しています。

 

身近な存在として担当の先生よりも看護師に心を開く少年も多く、看護師との密な関係が更生の助けになることもあるのです。

  


医療少年院の実態は、精神科の閉鎖病棟と同じ

 


酒鬼薔薇と名乗っていた少年を覚えていますでしょうか。

 

私は彼と同じ府中にある医療少年院に送致されたのですが、医療少年院の実態は精神科の閉鎖病棟と全く同じです。

 

ちなみに、私の主治医も酒鬼薔薇事件の少年と同じでした。

 

病気の重症度は少年によって異なるものの、壁を叩く、奇声をあげる、鏡や便器を叩き割るなど日常茶飯事です。

 

プログラム中に突然白目を剥いて倒れたり、なんの前触れもなく隣にいた少年を殴ったり、そんなのことも「またか」と思える環境でした。

 

ある日、とある独房の前を通り過ぎると、生理ナプキンを食べている子を見ました。


先生が「やめなさい!早く渡しなさい!」と叫んでいる中、奇声をあげて全裸で走り回り、彼女は血まみれのナプキンを頬張っていました。

 

少年院に何度も出入りしている子は、院内の情報を嗅ぎ回るのが上手いです。

 

少年院常連の子に聞いた話だと、ナプキンを食べていた子は19歳で、既に2年は医療少年院にいるということでした。

 

裁判で少年院送致が決定される際、刑務所同様に「刑期」も定められます。

 

但し、少年院の場合は刑期を終えたら絶対に出院できるとは限らず、在院中の先生たちの評価により出院時期は前後します。

 

前後する、ということは、刑期よりも早く出れる場合も大いにあるのです。

 

初等、中等少年院はどんなに長くても22歳までしか在院できませんが、医療だけは26歳まで在院できます。

 

病でなかなかプログラムが進まない少年や、問題を多数起こす少年は、通常の出院に加えて「精神病院送り」が検討されるのです。

 

そして死ぬまで、別の意味での檻の中で暮らすのです。 


医療少年院には、日本の闇が詰まっている

 


医療少年院は社会にとって、初等、中等よりも「臭いものに蓋をしたくなる存在」だと思います。

 

事実、壮絶さでいえば特別少年院に次いで、真っ黒な世界でしょう。

 

私は見て見ぬ振りをするよりも、真正面からぶつかって早急に問題を解決したいと思うタイプです。

 

日本の皆さん全員がそうだとは限りませんが、ひとりでも多くの人がこの問題に興味を持ってくれると幸いです。